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    英語長文の読解問題に取り組む前に、その前提となる英文解釈の基本について以下の記事を参考に学んでおきましょう。

    語学の達人と英文読解

    英文読解とは?

    英文読解とは読んで字のごとく、【英文を読んで理解すること】です。もう少し専門的な言葉で言うと、これは先の記事におけるミクロな英文解釈とマクロな英文解釈を合わせたものです。

    • 英文読解=ミクロな英文解釈×マクロな英文解釈
    • ミクロな英文解釈=英単語と英文法の知識を駆使して1文づつ英文の構造と意味を明らかにしていく読解作業。
    • マクロな英文解釈=複数の英文間の関係を理解し、各パラグラフのトピックを明らかにした上で、それらの相互関係を英文全体の中で位置付けていく読解作業。英文全体の読解作業であり、パラグラフリーディングなどにも近い。

    読むという行為は、言語習得のための大きな部分を占める活動です。多くの語学の達人たちが言語習得のために多くの時間をかけて多読をおこなっています。

    例えば、同時通訳者の世界で有名な多言語話者であるロンブ・カトー氏もその著書の中で、たくさん読むことを言語習得の最重要ファクターとして挙げています。

    そんな彼女は16ヶ国語で翻訳を、10ヶ国語で通訳を、さらには5ヶ国語で同時通訳をやってのけるという語学の達人でした。

    とはいえ、いざ多読を試みても、英文の意味を正確に把握して読み進めていかなければ、たいした成果は得られないでしょう。それは、ただ読んでも、それが必ずしも理解していることを意味するとは限らないからです。

    語学の達人が、多読をすすめる裏には、読んで理解するという前提が隠れていることに注意しなくてはなりません。

    英語学習における多読の効果を最大化するためには、まずは英文解釈のための知識を学び、その定着のための実践を積まなければなりません。

    つまり、実際の生の英文に取り掛かるより先に、英語の試験で扱われるような題材を使って、型のトレーニングをしておく必要があります。そのトレーニングを通じて、英文を読んで理解するというプロセスを自分のものにしておきましょう。

    なぜ英語長文が読めないのか?

    詳しい勉強のやり方に進む前に、そもそもなぜ英語長文を読めないのかを考えておきましょう。正しいトレーニングのプロセスを理解するためには、なぜ英文読解ができないのかという原因を分析しておく必要があります。

    主な原因としては、

    1. 語彙力の欠如
    2. 英文法・構文の理解の欠如
    3. 実践不足

    などが挙げられます。

    1. 語彙力の欠如

    まずは基本となる英単語・英熟語を覚えていないと、いくら文法の知識だけあっても英文の意味を取ることができません。

    まずは最低限の語彙を覚えることから始めましょう。その際、特に動詞に関しては頻出の語法までしっかりと理解して覚えておきましょう。英語を根本から理解するためには動詞の理解が最重要となります。

    最終的に、どの程度英文を読めるかは、どれだけ英語の語彙を覚えたかに左右されると言っても過言ではありません。英単語の暗記は時間がかかり、根気が必要ですが、努力した分のリターンは大きいので頑張って覚えてください!

    2. 英文法・構文の理解の欠如

    英文法・構文の知識がないと英文の構造を正しく理解することができません。以下の例文を見て下さい。

    It was yesterday that I started to study for today’s exams.

    WISABLE

    意味がわかるでしょうか?この例文を構成する英単語はどれも基本的なものです。しかし、ここで使われている構文の知識がないと正確に意味を把握することは難しいはずです。(強調構文が使われています)

    英語長文の勉強にとりかかる前に1度英文法・構文の勉強をやっておく必要があります。詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

    3. 実践不足

    知識としては語彙力も文法も十分であっても、実際の英文の中で適切に応用するという経験が足りなければ、英文を読み理解するという力は十分に鍛えられません。

    英単語を暗記し、英文法の勉強をしたら(インプット)、そこで学んだことを実際の英文の中で使っていく(アウトプット)訓練を積みましょう。この実戦では2つの段階を設定します。

    まずは、短い英文を用いてミクロな英文解釈を練習する段階。そして次に、英語長文読解問題を解きながらマクロな英文解釈へと進みます。

    ここでは、この2つの英文読解学習プロセスを正しく行うために、みなさんといっしょに例題を解いてもらいます。ここでの演習を通じて、正しい英文読解の学習法を追体験してもらいたいと思います。

    英語短文読解演習:ミクロな英文解釈の練習

    それでは、いっしょに英文を読解してみましょう。ただし、解説に進む前に必ず自分で解いてみて下さい!

    例題

    問題:以下の文章に含まれる全ての英文を、文法構造を全て分析した上で全訳せよ。

    THE ANTS were spending a fine winter’s day drying grain collected in the summertime. A Grasshopper, perishing with famine, passed by and earnestly begged for a little food. The Ants inquired of him, “Why did you not treasure up food during the summer?’ He replied, “I had not leisure enough. I passed the days in singing.” They then said in derision: “If you were foolish enough to sing all the summer, you must dance supperless to bed in the winter.”

    Lit2Go
    • grain 穀物
    • grasshopper バッタ、キリギリス
    • perish with famine 飢えで死ぬ(滅亡する)
    • treasure (up)… …を蓄える
    • have not (主に英) = don’t have (主に米)
    • derision あざけり、嘲笑い

    リンク先には音声もあるので、リスニングの勉強にも活用して下さい。

    さて、訳は完成したでしょうか?これから解説に入ります。一文づつ文法構造をとりつつ、訳を与えていきます。この解説を参考に、みなさんが勉強する際にも同程度の分析をするようにして下さい。

    翻訳

    THE ANTS were spending a fine winter’s day drying grain collected in the summertime.

    Lit2Go

    蟻たちは、夏の間に収穫された穀物を乾燥させながら、陽気な冬の日を過ごしていました。

    まずは主語と述語から特定しましょう。主語はThe antsで、述語動詞はwere spendingです。

    次に述語動詞のとっている文型にしたがって、動詞以下の要素を特定します。ここでは動詞の後にa fine winter’s dayという名詞がきているのでspendが第3文型として使われていて後ろの名詞が目的語になっていることがわかります。

    これで文の基本要素は揃い完全な文となっていることがわかります。つまり、あとは修飾要素を残すのみです。

    すると、drying以下は分詞構文として主節の動詞を修飾している副詞句であることがわかります。dryingの主語は主節の主語the antsと同じなので省略されていますね。ここでdryは第3文型をとってgrainを目的語に持っています。

    collected以下は過去分詞としてgrainを修飾する形容詞句となります。2語以上の形容詞要素(形容詞句・節)は名詞を後置修飾するのが原則です。in the summertimeはcollectedを修飾しています。

    わからない単語、知っているけどもう一度確認したい単語は書き出しておきましょう。

    • grain 穀物

    英単語の覚え方については以下の記事を参考にして下さい!

    翻訳

    A Grasshopper, perishing with famine, passed by and earnestly begged for a little food.

    Lit2Go

    一匹のキリギリスが、空腹で死にかけながら、通りかかって少し食料を分けてくれるように熱心にお願いしてきました。

    A Grasshopperが主語で、andで接続されたpassed byとbeggedが述語動詞です。

    主語の後の,…, は挿入です。挿入には主語に説明を加える形容詞句・節や主語の同格名詞、または稀ですが後ろの述語動詞を修飾する副詞句がきます。ここでは現在分詞の形で主語に説明を加えています。

    残りの修飾要素については、earnestlyがbeggedを修飾し、for a little foodはbeggedを修飾する副詞句です。前置詞+名詞の形で形容詞句もしくは副詞句になることを思い出してください。

    さて、語彙も確認しておきましょう。

    • grasshopper バッタ、キリギリス
    • perish with famine 飢えで死ぬ(滅亡する)

    grasshopperはgrass-hopperと考えてください。grass(草)でhopper(飛び跳ねているやつ)と考えればすぐに覚えられる英単語ですね。grassとhopperを知らなければ同時に覚えられます!接頭辞、接尾辞、語根などから単語の成り立ちを考える語形成の知識に注意しておくと英単語の暗記は効率的に行えます!

    翻訳

    The Ants inquired of him, “Why did you not treasure up food during the summer?’

    Lit2Go

    蟻たちは彼に尋ねました、「どうして夏の間に食料を蓄えておかなかったのですか?」

    The Antsが主語、inquiredが述語動詞で第3文型をとり“セリフ”を名詞節として目的語にとっています。inquire of 人の形で,「(人)に尋ねる」という意味で、of+人(名詞)がinquiredを修飾する副詞句になります。

    “セリフ”の中身は疑問詞を使った疑問文です。ここでは直接話法なので、語順は普通の疑問文のままです。間接話法のばあいはwhy you did not treaseure up…のように語順が間接疑問文の形に変わって続きます。この疑問文の主語は youで述語動詞はtreasure upで第3文型の動詞としてfoodを目的語にとっています。during+the summerでtreasureを修飾する副詞句です。

    簡単な単語でも語法やコロケーション(どの語とつながるのか)の確認をしておきましょう。

    • inquire (of 人) … …を(人に)尋ねる
    • treasure (up) を蓄える
    翻訳

    He replied, “I had not leisure enough. I passed the days in singing.”

    Lit2Go

    彼は答えました、「遊び足りなくて、歌って何日も過ごしていたんです。」

    Heが主語で、 repliedが第3文型をとる動詞で“セリフ”を目的語にとっています。セリフの中身は、Iが主語で、had not が述語動詞で、leisureを目的語にする第3文型です。

    ここでhad notという形に違和感を覚える人もいるかと思います。米語に慣れているひとはdidn’t haveなどとするところですね。この英文はイギリス英語なので、「持っている」をいみするhaveの否定形はhave notの形をとることが多いようです。

    昔、自分も知り合いのオーストラリア人(両親がイングランド人とスコットランド人)がhave notを使っているのを不思議に思って聞いてみたところ、イギリス英語だと用法だと教えてくれたことがあります。

    さて、続きをやってしまいましょう。enoughはleisureを後置修飾する形容詞。1語の形容詞は通常名詞を前から修飾するのが原則ですが、enoughは名詞を前からも後ろからも修飾できる例外的な語。また後置修飾の方が強調的であることにも留意しておきましょう。

    2文目は、Iが主語で、passedが第3文型の述語動詞でdaysを目的語にとっています。pass 時間 in …ingの形で…して時間を過ごすという意味になります。語法として確認しておきましょう。in+名詞(ここでは動名詞)の形でpassedを修飾する副詞句になっているわけです。

    • have not
    • pass 時間 in …ing
    翻訳

    They then said in derision: “If you were foolish enough to sing all the summer, you must dance supperless to bed in the winter.”

    Lit2Go

    (それから)蟻たちは嘲笑って言いました、「あなたが夏中歌っている程おバカなら、冬の間、夕食抜きで寝るまで踊らなくちゃ。」

    Theyが主語で、saidが述語動詞です。“セリフ”が目的語と考えればいいでしょう。thenとin derisionは副詞の役割です。ここでも前置詞+名詞で副詞になっていますね。

    “セリフ”内は、if節が副詞節(従属節)で、その後にyouを主語、must danceを述語とした主節がきます。danceは第1文型をとっていますね。その後に、副詞句が続きます。

    if節内ではyouを主語、be動詞のwereを述語動詞にして、第2文型としてfoolishを主格補語としてとります。enough以下はfoolishにかかる副詞句になっています。

    主節のto bedに冠詞がついていないので、ベッドの機能・役割に注目していることがわかります。つまり、眠る場所であるという機能に注目した表現です。このような例は、他にもgo to school, go to hospitalなどで見られます。

    語彙の確認もしておきます。derisionは知らなかった人も多いかもですね。

    • derision あざけり、嘲笑い

    最後に全体の訳を与えておきます。ここでは自然な日本語になるように多少意訳しています。

    日本語と英語の表現は必ずしも1対1に対応するわけではないので、翻訳する際は、あまり直訳に固執しすぎないほうがよいでしょう。

    僕も、ネイティブではないので、慣用的な表現に気づかないこともあります。いつも100%間違いなく英文を理解することは難しいですが、辞書の力などを借りつつ、少しずつ自分の英語脳をアップデートしていきましょう。

    全訳

    蟻たちは、夏の間に収穫された穀物を乾燥させながら、陽気な冬の日を過ごしていました。

    (するとそこへ)一匹のキリギリスが、空腹で死にかけながら、通りかかり、少し食料を分けてくれるように熱心にお願いしてきました。

    蟻たちはキリギリスに尋ねました、「どうして夏の間に食料を蓄えておかなかったのですか?」

    キリギリスは答えました、「遊び足りなくて、歌って何日も過ごしていたんです。」

    (それから)蟻たちは嘲るように言いました、「あなたが夏中歌っている程おバカなら、冬の間、夕食抜きで寝るまで踊らなくちゃ。」

    英語長文読解演習:マクロな英文読解から英語長文へ

    ここまで、英文1文単位でのミクロな英文解釈を訓練してきました。ここまでが、英文読解における型稽古です。

    次に、パラグラフごとの意味内容と長文全体の構成を意識した読解、マクロな英文解釈を練習します。

    ようやく実際の英語長文を使った乱取り稽古へと進むわけです。実際の入試問題などを用いて、これまでに習得した英文解釈の型を実践していきます。

    どのような種類の英文に対しても、即座に理解できるレベルを目指します。つまり、英文を読む際に、いちいち日本語の意味を介することなく、英文を頭から順番にその意味を把握していける状態を目指します。もちろん、複雑な英文に出会えば、立ち止まることもあると思いますが、それは日本語でも同じはずです。

    このセクションは追記予定です。しばらくお待ちください!

    英語長文読解の5つのコツ

    ポイント1:まずは主語と述語を特定する

    前のセクションでは、必ず主語と述語動詞を特定する作業から分析を始めました。この姿勢は、対象が複雑になるほど、重要になります。また、主語と述語動詞を特定する際には、主節と従属節の区別、itを用いた仮主語などにも注意しましょう。

    ポイント2:修飾語句に惑わされない

    主語と述語動詞を特定して、述語動詞のとる文型にしたがって残りの基本要素を特定すると、残りの要素は修飾要素になります。要するに英文にくっついている飾りです。英文の書き手の主張は基本要素の方にあるので、あまり飾りの部分に惑わされて重要な部分を見失わないようにして下さい。

    ポイント3:ディスコースマーカーで英語長文の流れをつかむ

    マクロな英文読解の精度をあげる方法として、ディスコースマーカーを意識するというものがあります。ディスコースマーカーとは、英文間、及びパラグラフ間のつながりを提示する表現のことを意味します。

    日本語でも、「そして」、「しかし」、「一方で」などの表現がありますよね?これと同様の表現が英語にもあって、それを意識して英文を読むことによって、英語長文全体の理解度が格段に上がります。

    ディスコースマーカーを意識した読解については、以下の参考書がとても良いので、ぜひ使ってみて下さい。

    ポイント4:英語長文の構成スタイルを理解する

    英語長文を読むときに、その構成スタイルを知っているのといないのとでは、その理解度に大きな違いが生じます。特に、アカデミックな内容の英文は、しっかりとしたルールにしたがって書かれているものがほとんですので、これをおさえておくことは大きなアドヴァンテージとなります。このアカデミックな英文スタイルについては以下の記事に解説があるので参考にして下さい。

    ポイント5:背景知識を深める

    英語長文の書き手は多くの場合、日本とは異なる文化圏の出身です。そのため、書かれた英文にもその違いが反映されています。彼ら彼女らが持つ文化的な背景について知識を深めておくことは英語長文を攻略する上で非常に重要です。

    日本語でも、現代とは違う文化背景をもった書き手が書いた文章があります。そう、学校で苦労した(であろう)古文です。おそらく、古文の勉強をする際に、古文常識というものを勉強したのではないでしょうか?それと同じことを英語に関しても行う必要があるのです。

    また、背景知識というのは文化的なものだけでなく、文章のジャンルに関する知識も含めたものです。政治や経済について書かれた文章を読むとすると、その理解度は読み手の専門知識の有無によって大きくかわるでしょう。それは日本語でも英語でも同じなのです。

    特に専門的な見識を広めるための具体的な勉強法としては、様々なジャンルの本を日本語でも良いので読んでおくことが効果的です。また英語の教材としては次の参考書がおすすめです。

    さて、入試問題の英文を読解できるようになったら終わりでしょうか?いいえ、ここまでの稽古はあくまでも道場内の稽古にすぎません。その後、出稽古をしてその技に磨きをかけていく必要があります。ネイティブが書いた小説や新聞記事、エッセイなどを自分の興味の赴くままに多読していきましょう。

    英文読解参考書

    • 英文解釈の技術シリーズ
    • 英文読解の原則125
    • 英文読解の透視図
    • ディスコースマーカー英文読解

    英語長文問題集

    • やっておきたい英語長文シリーズ
    • 英語長文問題精講


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