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    今回は、佐藤優氏の著作、『読書の技法』を取り上げて、読書論について考えていきます。

    現代日本人の読書に対する認識

    文化庁が実施した平成14年度、平成20年度、及び平成25年度の「国語に関する世論調査」によると、近年、日本人の読書習慣は減衰傾向!日本人の約半数近くが月に1冊も本を読まないという大変ショッキングな調査結果が出ているようです。

    ヤスチカ
    うっそだぁ〜
    俺、月に数冊は読んでるぞ!
    ゴールドスミス
    あのね、ヤスチカ。
    日本人は君みたいに暇な人ばかりじゃないんだよ!

    しかし一方で、若い世代を中心に自分の読書量を増やしたいとも思っているようです。女性の40代以下では8割以上、男性も50代以下では7割前後の回答者が高い読書意欲を示しています。

    また、同調査によれば、読書をするメリットとして「新しい知識や情報を得られること」と回答した人が最も多く、回答者の6割以上がこのメリットを感じています。

    これらの調査結果から、大まかな日本人の(特に若い世代の)読書に対する意識として推測できるのは「読書をすることで教養を深めていく必要性を感じてはいるが、様々な制約から実行できていない」という問題意識でしょうか?

    今回は、そんな悩みを抱える日本人が、いかにして効率的に読書という手段を用いて学び・教養を深めていけるのかについて、佐藤氏の読書術から考えたいと思います。

    みなさんもこれを機会に、各々の読書習慣を効率化してみませんか?

    読書論

    読書についての先人の知恵

    古来より書物を読むという行為は、時間や空間を超えて、人から人へと知識を受け継ぎ、伝搬するための手段でした。人類の知恵を集積した書物をどのように扱い、そこからいかにして学び、よりその先へと発展させていくべきかというテーマは、古くより多くの言論人が論じてきたものです。

    例えば、ドイツの哲学者ショーペンハウアーは著書の『読書について』の中で、読書に関する大変鋭い指摘をしています。

    誤解を恐れずに、その内容を端的に述べるとすれば「時間というふるいにかけられた良書に注力して学び、かつ自分の頭を使って考えるということを忘れるな!」という読書に対する作法です。

    ゴールドスミス
    「古典を読みなさい」というアドバイスはいつの世も変わらないのかな?
    ヤスチカ
    いや、まぁ、読もうとはするんだけどさ、古典の訳文って、くどく感じちゃうんだよね〜

    なんでもかんでも、多くを読み漁ったとしても得られるものは少なく、むしろ弊害の方が大きくなってしまう。たとえ、より普遍的な知恵を授けてくれる書物から学ぶことができたとしても、そればかりに拘泥しているようでは、新しい発展をもたらすことは難しい。

    「読書をするからには、このあたりのバランス感覚を研ぎ澄ませていくことが重要である」とショーペンハウアーは現代の私たちに問いかけているのかもしれません。

    現代日本における読書論

    一方で、現代日本における読書論にはどのようなものがあるのでしょうか?Amazonでのランキングや、大型書店の書棚を見てみると、主に2つのタイプの読書論が展開されているようです。

    2大ジャンル
    1. ブックリスト(=何を読むべきか?)
    2. 速読術(=どうやって速く、多くを読みこなすか?)

    ブックリスト

    1. のブックリストに関しては著者の専門に応じて様々なタイプのリストが存在します。各分野に興味関心がある方にとっては参考になることも多いでしょう。しかしながら、ただリストにタイトルを並べただけという雑な作りのものも多く、使い方には注意が必要です。

    この種のブックリストについては、その分野について事前に知識を有している人よりも、まったくの門外漢の方が購入されることが多いかと思います。

    そのような人にとって、ただタイトルだけを並べられても、どれが初心者向けの入門書で、どれが難解な専門書なのかすら正確な判断できずに困ってしまう場合が多々あるでしょう。

    そのような点に留意しておく必要はありますが、各自の目的に合ったブックリストを探して使うことができるのであれば、それは大変有益な情報源になります。その様なブックリストを用いて、各自にとって学ぶ価値のある本を選択することこそ、ブックリストの賢い活用法だと思います。

    速読術

    一方で、2. 速読術に関しては、科学的根拠に乏しい眉唾ものが驚くほど多いというのが正直なところです。

    「フォトリーディングで瞬時に内容を把握しろ!」だとか、「面で捉えろ!」だとか、眼球運動?etc. 実に怪しい文言が並んでいます。これらは客観的な根拠に乏しく、再現性が皆無であるものが多い印象です。

    佐藤優著 読書の技法

    一般的な読書論を概観したので、次に読書論に関するオススメの本を1冊紹介したいと思います。元外交官の佐藤優氏による「読書の技法」です。

    本書は主に上記の2. 速読術のタイプに属します。しかしながら、数多の胡散臭い速読術の本とは一線を画した良書です。本書はいかに基礎知識を身に付けるのかというテーマが中心にあって、それを熟読の技法として紹介しています。佐藤氏は速読は熟読するための本を取捨選択するための作業であると同時に、熟読によって基礎知識を得た後で効率よく知識を吸収するための読書術でもあるとも説きます。

    読書による知識の獲得プロセス

    本書が論じる読書の技法を簡潔にまとめてみます。本書で展開される読書術では、

    佐藤優流読書の技法
    1. 速読1(=熟読の準備、読む本の選別)
    2. 熟読(=基礎知識の獲得)
    3. 速読2(=基礎知識の拡充・強化)

    という流れで基礎的な知識・教養を身に付けることを推奨しています。実に真っ当な勉強術・読書術のような気がしませんか?

    ゴールドスミス
    この読書プロセスは、ショーペンハウアーの読書論に通じる部分もある気がするね!

    加えて、あらゆる読書術の前提となる基礎的な教養として、著者の佐藤氏は度々高校のカリキュラム程度の知識を確実に修めることを勧めています。英語、数学、日本史、世界史etc. これら基礎科目の知識は集中して身につけておいた方が、後の学習効率という観点から望ましいことは明白でしょう。本書でもその点に関して章を割いています。


    この点に関して、仮に読者の方が大学受験生である場合には特に、自分が今やっている勉強が、単に受験のためだけにあるのではないという意識を持って頂きたいです。今学んでいることが、その先の学習・研究につながる可能性があるものだということを是非とも考えてもらいたいです。

    そして確かな基礎知識に裏付けされた教養は、学問の世界だけでなく、ビジネスの世界に飛び込んだ後でも、自分で物事を分析し、課題を発見し、それを解決する上で大きなアドヴァンテージになるということを忘れないで下さい。

    ちょっと、説教くさくなってしまいました。すみません(笑)


    独学への応用:
    熟読の技法ノーティング

    最後に、本書の要諦部分にあたる熟読の技法の主なポイントを簡単にまとめておきます。このプロセスは熟読を行う際に用いられます。同じ本を、以下のようにアングルを変えながら、合計3回通読します。まず1読目には、

    第1読目
    • 重要なところにマーク
    • 疑問に思ったところにもマーク
    • それぞれに簡単なコメントを書いておく

    続く2読目には、

    第2読目
    • 要点となる部分の精査
    • 特に重要なマーク部分を囲む

    そして3読目はノーティングの作業を並行して、

    第3読目
    • 囲みを自分のノートに抜き書きする
    • その内容を自分の言葉で要約する
    • 自分のコメントをつける
    • 既存の知識との関連付けを行う

    という流れで読書を学びにつなげていきます。この熟読の仕方、ノーティングのやり方は、旧ソ連の初代指導者であるレーニンの読書術に依拠したものだそうです。

    読書というものは、読む人それぞれが現有する知識や経験によって、そこから受け取ることができる学びも異なります。

    自分のための学びを効率化し、かつそれを復習・定着できる形に持っていくために、このレーニン流の読書術は大いに役立ちます。

    この自作の読書ノートが頭にインプットされていれば、読んだ本の内容(各自が学びとったこと)を再現することができますし、その知識は熟読のプロセスの中で自分の思考を挟んで会得したものであるため、現実に応用できるものとなるはずです。

    ゴールドスミス
    やはり、ショーペンハウアーの読書論を踏襲した読書術のようだね!興味深いなぁ!

    誰でもすぐに実践できる方法なので是非とも試してみてはいかがでしょうか?より詳しい内容については、佐藤優氏の著書を読んで学んでみて下さい!※ただし、図書館の本に書き込むのはやめましょう!

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